公開日: 2026年7月24日
中国製 DDR5 ダイがついに値差を縮小——現物が最高値を更新したのと同じ週に。現品バイヤーのためのセカンドソース読み
DDR5 モジュール現物は今週も最高値を更新したが、同じ業界口径が中国製(CXMT 系)ダイの値差縮小を指摘している。これはサーバーの緩みではなく、汎用 / PC 帯でようやく現実的な代替の窓が開いたということだ。どの品目にセカンドソースを入れられ、どれは動かせないか、そして先に通すべき三つの関門を整理する。
現物はまた上げた。ただ今回は盤面に新しい変数がある。
DigiTimes は 7 月 21 日にはっきり書いた。AI とサーバーの買いが供給を吸い上げ、DDR5 モジュール現物は最高値を更新――ここまでは周知だ。現品バイヤーが書き留めるべきは後半である。中国製 DDR5 ダイが一線メーカーとの値差を縮め始めた。
結論を先に置く。途中で読むのをやめて突っ込まないように。
- 縮んでいるのは汎用 / PC 帯の値差であって、サーバー帯ではない。
- 一線のサーバー DDR5・RDIMM は一切動いていない。これを根拠に「DDR5 は下がる」と顧客に言わないこと。
- 中国製ダイが入るのはセカンドソース / 比較見積の枠。実際に BOM に載るかは認証・納期・一貫性を通ってから。
数量を出しているのは誰か
値差が縮むのは、中国製の実物が本当に出回っているからだ。
- CXMT:DRAM 能力は 2026 年末に約 35 万枚/月(WSPM)と予測、既にマイクロンに接近。2025 年売上は約 80 億ドルで前年比 +130%、年末には上海で HBM 量産も狙う。
- YMTC:武漢新工場は 2026 下期立ち上げ。注目は――能力の約半分を NAND ではなく DRAM に振り向ける点。
現品の言葉に訳せば、来年の汎用 DDR5・一部 DDR4 の承認ダイ表には、中国製の型番が「噂」ではなく実在の選択肢として増えていく。
品目別:動かせるもの、触らないもの
セカンドソースの比較に入れられる:
- 汎用 / 民生 DDR5 UDIMM・SODIMM の主流密度
- 一部の標準 DDR4(汎用の産業枠――顧客が中国製を許容する前提)
- 一貫性のばらつきに耐性がある、数量が多く価格に敏感な民生 / ホワイトボックス整機向け
当面は触らない:
- サーバー RDIMM / 高密度 DDR5――一線は依然逼迫、この帯に安定した中国供給はまだない
- 車載・医療、AEC-Q や長期認証を通す品目――認証は四半期単位、今年には間に合わない
- すでに NCNR 長期契約で固定された枠――数ポイントの値差で契約を破らない
セカンドソース前に通す三つの関門
- 認証:一線ダイを中国製に替えると、顧客側で検証をやり直す。産業 / 車載の認証は一〜二四半期。今始めなければ 2027 の BOM にも入らない。
- 納期:能力の立ち上げと、特定型番が棚にあることは別物。実際の納期とロット安定性はロット毎に検証を。
- 一貫性 / 政策:ロット間のパラメータばらつきを注視――そして政策変数を無視しない。米国の MATCH Act 系は CXMT・YMTC を名指ししており、米国関連のサプライチェーンで中国製メモリを主供にするのは政策リスクを伴う。比較用のセカンドソースは可、主供に寄せるなら熟慮を。
ついでに:値上げは外へ広がっている
DDR5 だけが動いていると思わないこと。GDDR6 現物は今回 約 $2.5/GB から 約 $7.5/GB(約3倍)へ走り、AMD の AIB 向け GPU+GDDR6 キット +10% 値上げは今月発効――値上げがサーバー相場からグラフィックス / エッジ AI ボードへ波及した。
まとめれば一文だ。一線の能力は HBM とサーバーに張り付き、圧力は隅々へにじみ出し、中国製ダイは今の数少ない「逃がし弁」の一つ――ただしそれが逃がすのは汎用帯の圧であって、サーバー帯ではない。
締めの一行
「中国製 DDR5 が値差を縮める」は本当だ。だがそれはセカンドソースの窓であって、値下げのシグナルではない。この一文を正しく読むバイヤーは、今年、比較見積の一本と認証の先行貯金を手に入れる。読み違えるバイヤーは、中国価格を一線の見積にぶつけ、顧客がロットを検品した瞬間に露見する。