公開日: 2026年5月27日
Samsung が DDR5 契約価格を最大 60% 引き上げ、2026 年メモリ枠は既に売り切れ
Samsung は 32GB DDR5 モジュールの契約価格を $149 から $239 へ、約 60% 引き上げた。SK hynix は 2026 年通期の HBM、DRAM、NAND 生産枠が「ほぼ完売」と認めている。AI サーバーが DDR5、LPDDR、NAND のウェハ容量を吸い上げている。EMS、設計会社、産業向け工場の調達は、今後 18 か月の BOM メモリ価格を毎月見直す必要がある。
2026 年上期に入ってから、メモリ系のニュースが止まらない。
Samsung は 9 月に $149 だった 32GB DDR5 モジュール契約価格を、11 月時点で $239 まで引き上げた。2 か月で約 60% の上昇。同期間、16GB と 128GB は約 50% 上昇($135、$1,194)、64GB と 96GB は 30% 以上。
ダイ単体の動きはさらに激しい。DDR5 ダイの契約価格は、2025 年初頭の $7 前後から、足元 $19.5 前後まで。1 年で約 3 倍。
供給側はもう取り繕っていない。
SK hynix は Q3 決算カンファレンスで 2026 年通期の HBM、DRAM、NAND 容量が「ほぼ完売」と明言。Samsung は携帯向けの RAM 注文を一部断り始めている。Micron はコンシューマ向けメモリ事業から正式に撤退し、エンタープライズ、AI、車載、産業、防衛、通信のロングテール顧客のみを残す方針に切り替えた。
なぜここまで逼迫しているのか。
中心は HBM。AI アクセラレータ 1 枚分の HBM は、通常 DDR5 ダイ 3 枚分相当のウェハ容量を消費する。HBM 需要は 2026 年に前年比 +70%、DRAM ウェハ出力の約 23% を吸収する見込み。これを賄うために、3 大ベンダーは汎用 DDR5、LPDDR の生産ラインを継続的に圧縮している。
→ 産業グレードの DDR5、LPDDR5 は概ね 30 週超のリードタイムに。
→ eMMC、LPDDR4 という、これまで「比較的取りやすい」古めの製品も逼迫し始めた。ベンダーは LPDDR4 ラインの新設に消極的。
→ サーバー向け DDR5 RDIMM、LRDIMM は、ハイパースケーラとサーバー OEM が長期契約で枠を取り切っており、スポット市場にはほぼ流れない。
中堅 EMS、設計会社、産業向け OEM の調達担当者にとって、ここから引き出される実務的な判断がいくつかある。
ひとつ。客先の BOM 上のメモリ単価は、もはや基準にならない。9 月時点の見積もりは 8 か月前のもので、いま発注を切るなら必ず再見積もりが要る。
ふたつ。ベンダーは顧客を選ぶ姿勢を続ける。Samsung は既にスマホメーカーを断り始め、Micron はコンシューマから撤退している。中堅 EMS や産業向け調達は、このサイクル内で枠が広がることはない。
みっつ。在庫の価値が上がっている。Samsung、SK hynix、Micron、Kioxia の産業グレード DDR5、LPDDR5、eMMC、古い DC コード品が、現在のスポット市場で契約価格に近い水準まで戻っている。
よっつ。AI 専用メモリ(HBM、高密度サーバー DDR5)は、既存の枠がない以上、深追いしない方が良い。産業向け DDR5、LPDDR5、eMMC、LPDDR4 のほうが、スポット市場と過剰在庫市場に余地が残っている。
いつつ。SK hynix の内部試算では、PC DRAM の供給が需要に追いつくのは 2028 年後半以降。短期的な変動ではなく、構造的な逼迫であり、18-24 か月単位で価格水準を計画する必要がある。
今後 4 週間で動くべき方向は明確だ。
- DDR5、LPDDR5、eMMC を一定量使用している顧客リストを抽出し、価格リセットと再見積もりを送る。
- 上流の過剰在庫、長期滞留在庫のリストを取り直し、稼働中の顧客 BOM とクロスマッチする。
- 古い DC コードの産業グレード品は、現在の市況参照価格で再掲する。
- 産業ゲートウェイ、IPC、エネルギーストレージ、BMS 系の案件を優先する。産業向け DDR5、LPDDR5、eMMC 在庫はこの領域で最も早く動く。
最後にひとつ、心地よくない事実を。
この供給逼迫はサプライチェーンの破綻ではない。DRAM ベンダー各社が、ウェハ収益が 3-5 倍高い HBM に意図的に容量を振り分けている結果である。最も ROI が高いところに供給がロックされている構造であり、AI 投資が続く限り、DDR5、LPDDR5、eMMC が 2025 年水準まで戻ることはない。