
公開日: 2026年9月18日
SK hynixのHBF・PIM・SALT-KV、AI推論メモリーをHBM単層から階層構成へ拡張
SK hynixはHBF、PIM/AiMX、SALT-KVを公開しました。長文脈、高速デコード、KV cache配置を異なるハードウェアとソフトウェア層に割り当てます。量産仕様、サーバー対応、実負荷ベンチマークが商用化の条件です。
AI推論によるメモリー階層の拡張
SK hynixは2026年9月17日、AI Infra Summit 2026でHBF、PIM/AiMX、SALT-KVを中心とする次世代AIメモリー構成を公開しました。会期は9月15~17日、参加者は約6,000人で前年の2倍です。HBF構造モデル、AiMチップ、AiMXカード、AiMX搭載サーバー、エンタープライズSSDを使うSALT-KV実演が展示されました。
学習用途ではHBM帯域が主要指標ですが、推論では長文脈、継続セッション、KV cache増加、リクエスト当たりコストが加わります。全データをHBMに置く構成は高コストであり、SSDへの過度な移動は遅延を増やします。SK hynixの構成は、高帯域フラッシュ、メモリー近傍演算、HBM・DRAM・SSD間のソフトウェア配置に課題を分解しています。
HBMとSSD間を対象とするHBF
HBFはHigh Bandwidth Flashの略で、NANDにTSV積層を適用します。HBMに近い垂直接続構造とフラッシュの大容量性を組み合わせ、HBMとSSDの間に新しい階層を形成する狙いです。媒体、遅延、耐久性、容量、コストが異なるため、HBMの直接代替ではありません。
長文脈推論では、HBMの経済容量を超えるデータを保持しながら、一般的なSSD経路より高い帯域を提供する可能性があります。量産判断には積層構成、インターフェース、コントローラー、熱設計、耐久性、システム対応が必要です。構造モデルは技術方向を示しますが、量産品番、価格、納期を示すものではありません。
データ移動を減らすPIM・AiMX
PIMはメモリー内に演算機能を組み込み、プロセッサーとのデータ移動を減らす技術です。AiMチップ、AiMXカード、搭載サーバーとLLMサービス実演が公開されました。高速デコードのように低遅延と電力効率が重要な負荷を対象とします。
効果はソフトウェア、対応演算、精度、整合性、プラットフォーム統合に依存します。メモリーウォールを緩和できますが、汎用GPUやCPUを置き換えるものではありません。評価にはエンドツーエンド遅延、処理量、消費電力、開発環境、保守性が必要です。
KV cache配置を管理するSALT-KV
SALT-KVはSemantic-Aware Lifecycle Tiering for KV Cacheの略です。KV cacheを文脈単位に分け、再利用価値と保存コストを評価し、HBM、DRAM、SSDへ配置します。静的な容量構成を、負荷に応じて変化するソフトウェア判断へ移します。
低再利用データがSSDへ移る場合、ランダムアクセス、遅延安定性、書込耐久性、QoSがAI推論の主要指標になります。HBMとDRAMは高価値・高再利用データに集中します。実際の部品需要は文脈長、同時実行数、キャッシュ命中率、階層化方針で変化します。
商用化までの確認条件
今回の開示は技術展示であり、量産供給の発表ではありません。HBFの購入可能品番や量産日は示されていません。PIM/AiMXはサーバーとソフトウェアの統合が必要であり、SALT-KVは実際のモデルとSSD構成による検証が必要です。現段階でHBM、NAND、eSSD全体の一律値上げを導く根拠にはなりません。
確認項目はHBF仕様、サンプル出荷、サーバー対応、SALT-KVベンチマーク、クラウド導入です。これらが展示技術から認定BOMへの移行を示します。AIメモリー競争は単一HBMから、DRAM、NAND、eSSD、先端実装、ソフトウェア制御の協調へ拡大しています。
OEM・EMSの評価軸
将来のAIサーバーBOMでは、容量だけでなく遅延、帯域、耐久性、コストで複数階層を定義する可能性があります。OEM認定はコントローラー、ファームウェア、熱挙動、障害復旧を含みます。EMSでは一つの階層の代替がシステム性能を変えるため、追跡可能な部品と認定構成が重要です。
HBF供給はNANDウェハーだけでなく、TSV形成、積層、組立、試験に左右されます。PIMは専用シリコンとカード統合、SALT-KVはeSSDファームウェアと安定したQoSを必要とします。ウェハー能力が十分でも、実装、コントローラー、ソフトウェア認定が遅れればシステム供給は制限されます。
量産品番、認定ベンダー一覧、正規通路报价、量産日程が調達判断の基準です。各階層は性能と耐久性の範囲が異なり、相互に単純代替できません。HBF、PIM、SALT-KVは、推論システムの容量と帯域をシステム全体で最適化する方向を示しています。