
公開日: 2026年8月19日
NAND メーカーの 2026年第2四半期売上が前期比 77% 増 — 値上げはすでに利益として計上済みでございます
2026年第2四半期、NAND Flash 上位5ブランドの合計売上は 688.7 億米ドル、前期比 77% 増となりました。マイクロンが 99.2% 増で3位へ浮上し、SK hynix グループは営業利益率が過去最高を記録しております。重要なのは伸び幅ではなく、その源泉がビット出荷ではなく ASP であった点でございます。仲介・現品の実務からご覧いただければ、これはどの需給予測よりも硬い材料でございます。メーカーは値上げを実際の利益として計上し終えており、第4四半期に値を緩める商業的な理由が消えました。同じ週、YMTC の 8-Plane QLC が量販流通に出たことで、国産セカンダリの議論に初めて引き合いを立てられる材料が加わっております。
TrendForce が 8月18日 に公表した第2四半期の数字は、ひとつの議論に決着をつけるものでございました。
NAND Flash 上位5ブランド合計、688.7 億米ドル、前期比 +77%。
内訳でございます。
- サムスン — 230.6 億ドル、+70.7%、シェアは 29.3% へ小幅低下
- SK hynix グループ(Solidigm 含む)— 142.7 億ドル、+89.5%、営業利益率は過去最高
- マイクロン — 118.5 億ドル、+99.2%、キオクシアを抜いて3位へ
- キオクシア — 約 107.2 億ドル、+79.9%
- SanDisk — 約 89.7 億ドル、+50.7%
注目すべきは伸び率ではなく、その源泉でございます。
TrendForce は明確に、ビット出荷ではなく ASP 主導であると記しております。
出荷量が倍になったのではなく、単価が倍になったということでございます。
この違いは、下期の読み方を根本から変えます。
数量主導の成長であれば、市場が拡大しており、供給側には増産の動機がございます。価格主導の成長であれば、供給を抑えること自体が最も儲かる戦略だという意味になります。
端的に申し上げれば、業界はこの一四半期で「出荷を絞ったほうが稼げる」ことを証明してしまいました。
では、第4四半期に値を緩める動機は、いったいどこにございますでしょうか。
TrendForce は第3四半期についても触れており、スマートフォン・PC の需要が弱含んでも 3Q26 は ASP が売上を支えるとの見方でございます。
民生の弱さと、メモリの緩みは、もはや連動しておりません。 この連動は 2025年のどこかで切れており、多くの調達モデルが更新されないまま残っております。
第二の脚はあるのか
ございます。しかも今週、実物として出てまいりました。
8月19日、ZHITAI Ti600s が発売されました。搭載されているのは YMTC Xtacking 4.0 の X4-6080、業界初とされる 2Tb 8-Plane QLC ダイでございます。
スペックでございます。
- 従来世代 QLC 比でスループット +147%
- インターフェース 3,600 MT/s、前世代比 +50%
- シーケンシャル読み出し 7,400 MB/s、書き込み 6,900 MB/s
- 4K ランダム読み出し +44%、ランダム書き込み +114%
- 外付け DRAM を持たない構成
- 1TB 1,189 元 / 2TB 1,889 元 / 4TB 3,899 元
なぜこの一件を単独で取り上げる価値があるのか。
世界の QLC 能力は、この二年ほどハイパースケーラの長期契約で押さえられたままでございます。中堅規模のバイヤーは列に並ぶことすらできておりませんでした。
そこへ、8-Plane QLC のラインが完成品として量販に並び、価格まで公開されております。
2026年においては珍しく、実際に引き合いを立てられる国産の受け皿でございます。
ただし、留保は明確に申し上げます。
量販向け SSD と、エンタープライズ eSSD は別物でございます。DWPD、電源断保護、顧客側の認定、いずれも省略できる工程ではございません。量販レビューの 7,400 MB/s をエンタープライズのお客様へご提示なさるのは、後々の保証問題を自ら抱え込む行為でございます。
今週のうちにご対応いただきたいこと
「第4四半期に緩む」という前提を、計画から外してください。
引き下げるのではなく、外していただく形が適切でございます。損益計算書がすでに答えを出しております。
対外見積は、すべて現在のスポットで再計算してください。
6〜7月の安値を今なお引用されますと、差額をご自身で負担することになります。今回の値上げは利益として確定しており、戻す理由がございません。
在庫の積み増しは、今週中にご発注ください。
エンタープライズ SSD、クライアント SSD、生 NAND、いずれも第3四半期の ASP は上昇継続でございます。待つほど高くなる局面でございます。
長期契約の条文を書き換えてください。
従来の契約は価格が平均回帰する前提で組まれております。3Q〜4Q の ASP 上昇継続を条件文へ明記し、「市場価格による」という開いた条項をご自身のマージンに向けたまま残さないことをお勧めいたします。
国産セカンダリは、引き合いを開始しつつ、切り替えは急がないでください。
YMTC 系のダイおよび完成品は、クライアント/商用 SSD、モジュール、現品流通の実務であれば、いま価格を確認する価値がございます。認定工程は省略なさらず、仕様のご提示は公式データシートに基づいてお願いいたします。
総括
この四半期で最も有用な情報は、688.7 億ドルという絶対値ではございません。
この局面において、メーカーとバイヤーの利害は完全に対立しており、しかもメーカー側が一四半期を明確に取ったという事実でございます。
メモリのサイクルは従来、能力・在庫・需要予測から読むものでございました。それらは今も有効でございますが、営業利益率をご覧いただくほど直接的ではございません。
SK hynix は、その営業利益率で過去最高を出したところでございます。
この数字が反転するまで、「そろそろ緩む」というご判断には、最も基本的な根拠が欠けたままでございます。