公開日: 2026年7月8日
メモリ相場が初めて二つに割れた——3Q26、サーバーは上げ続け、コンシューマ NAND だけ先に緩む「隙間」を現品バイヤーはどう読むか
TrendForceは7月3日、3Q26のメモリ価格見通しを示した。従来型DRAMは前四半期比+13~18%、NANDは+10~15%といずれも減速。だが本当のシグナルは初めて相場が構造的に割れた点にある。AIサーバーと企業向けSSDは上げ続け、client SSD・eMMC/UFS・ウェハーは購買力の天井に当たり先に緩んだ。この一年で初めて二分して扱うべき四半期だ。
この一年、メモリ相場はほぼ一方通行だった。DRAM も NAND も、在庫を寝かせておくだけで値上がりした。7 月 3 日、その一方通行に初めて亀裂が入った。
TrendForce の最新調査は 3Q26 をこう位置づけた。従来型 DRAM の契約価格は前四半期比 +13~18%、NAND Flash は +10~15%。数字はまだプラスだが、上げ幅は明らかに鈍化した。重要なのはこの数字より、その下にある「層」の違いである。
まだ硬く上げている側
- 企業向け SSD:上昇継続。CPU 不足が完成品出荷を抑え、バイヤーはむしろ在庫を積み始めた。ベンダーは企業向け SSD に生産能力を振り向け、NVIDIA の Vera Rubin 立ち上げが需要を下支えする。唯一の詰まりは内製 DRAM 不足で、小容量・高性能ドライブの供給を制約し、価格を押し上げ続けている。
- サーバー DRAM:3Q も供給不足。x86+RDIMM が Agentic AI ワークロードの主力プラットフォームで、出荷は 2027 年まで底堅い。上げ幅が緩むのは、一部が LTA(長期契約)で動くためだ。
- LPDRAM:ベンダーは AI を優先し、供給は逼迫、契約価格は上昇継続。スマホ各社はコストを小売価格に転嫁するが、自らの販売数量を圧迫している。
- GDDR6/7:NVIDIA の RTX PRO 6000 Blackwell は期待された GDDR7 需要を生まず、ノート PC も弱いが、柔軟な能力再配分で供給は締まったまま、価格は全体相場に連動している。
先に緩んだ側——ここが現品筋の狙う「隙間」だ
- Client SSD:上期に PC OEM が積み過ぎ、在庫が高く、バイヤーはもう一段の値上げを飲まない。ベンダーは出荷確保のため価格を「柔軟」にし、交渉は長引き、上げ幅は削られた。
- eMMC / UFS:最も明確な転換点。かつては逼迫していたが、3Q はむしろ供給が相対的に潤沢になった。スマホ需要の弱さと OEM のコスト吸収拒否がベンダーの価格支配力を削ぎ、上げ幅は明確に縮んだ。
- NAND ウェハー:USB メモリやメモリカードなど小売向け需要は低調、モジュールメーカーは仕入れを抑え、上流コストを転嫁できない。ベンダーは高採算の AI/サーバー向けに能力を残し、市中に出るウェハーは薄いが、需要が弱すぎて 3Q の上げ幅は大幅に収まる。
- コンシューマ DRAM:テレビ・STB は弱いまま。一方で車載・server SSD・ネットワーク機器といったニッチは底堅い。
この割れが取引に意味すること
第一に、「メモリ」を一括りで値付けするのをやめる。この一年は反射的に全メモリを値上げできたが、3Q からそれは崩れる。サーバー/企業向けと、コンシューマ/モジュールは別の論理で動く。分けて見積もる。
第二に、コンシューマ NAND に「局所的な窓」が開いた。eMMC/UFS、client SSD、ウェハーの勢いが緩んでいる。この種の死蔵在庫を抱えているなら、3Q はさらなる高値を待つより動くリズムだ。逆に客先向けに調達する側は、上期より交渉余地が広い。ベンダーの最初の提示値で受けないこと。
第三に、企業向け/サーバーのラインは逆張りしない。CPU が揃えば出荷と補充は 2027 年まで続き、AI が下支えする。企業向け SSD、RDIMM、LPDRAM の在庫はコンシューマと逆の論理だ。持てるものは持つ。
第四に、「購買力の天井」という言葉に注意。この減速は供給の氾濫ではなく、コンシューマのバイヤーが本当に吸収しきれなくなった結果だ。価格は下がったのではなく、上がれなくなった。取引筋にとってこの二つは全く別の状態で、減速はなお「上」であって「下」ではない。急いで売り込む局面ではない。
一言で言えば、3Q26 はこの一年で初めて、メモリを「二分して」読むべき四半期だ。サーバーの相場とコンシューマの相場を先に切り分けた者が、どちらに旨みが残り、どちらを出すべきかを先に見抜く。
出典:TrendForce、2026 年 7 月 3 日。https://www.trendforce.com/presscenter/news/20260703-13134.html